静岡産業大学で講義!「著作権とAI」~学生さんとの対話で感じた“今”~

こんにちは。行政書士の中津川 浩淳です。

先日の12月4日、静岡県行政書士会の冠講座として、藤枝市にある静岡産業大学にて講義を行ってきました 。 テーマは「大学生が知っておきたい著作権について」です 。

当日は約120名もの学生さんに出席していただきました。 90分という決して短くない時間でしたが、皆さん非常に熱心に耳を傾けてくださり、講師としてとても話しがいのある時間でした。

身近なトラブルから学ぶ著作権

講義では、単なる法律の条文解説ではなく、学生の皆さんにとって身近に感じられる実際の事件や判例を多く取り上げました。

例えば、「サルが撮った自撮り写真に著作権はあるのか?」という有名な「サル自撮り写真事件」 。 (結論から言うと、人間が思想・感情を表現したものではないため、原則として著作権は発生しません 。)

また、SNS世代の彼らにとって重要な「Twitter(現X)リツイート事件」についても解説しました 。 これは、画像のサムネイル表示(トリミング)によって、著作者名の表示が消えてしまったことが「著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)」の侵害にあたるかどうかが争われたケースです 。何気ないSNSの利用にも法的リスクが潜んでいることを知ってもらえたと思います。

避けて通れない「AIと著作権」

そして今回の講義で特に力を入れたのが、昨今世界中で議論を呼んでいる「生成AIと著作権」についてです。

資料でも紹介しましたが、アメリカでは既に、AI検索サービスの「Perplexity(パープレキシティ)」が、記事の無断利用でニューヨーク・タイムズや日本のメディアから提訴されるなど、大きなニュースになっています

講義では、AIの著作権問題を以下の2つの段階に分けて解説しました。

  1. AI開発・学習段階: 著作物をAIに学習させる段階(原則として許諾なく行える場合が多い)
  2. 生成・利用段階: 生成されたAIイラストなどが既存の著作物に似てしまった場合(依拠性と類似性があれば侵害になる可能性がある)

特に「依拠性(既存の作品を知っていて参考にしたか)」の判断において、特定のキャラクター名をプロンプト(指示)に入力していた場合などは、侵害のリスクが高まる点などをお伝えしました

授業後の学生さんとの対話

講義終了後、一人の学生さんが質問に来てくれました。 てっきり「この判例の解釈は…」といった法律的な質問かと思いきや、その内容は「AIで作成したもの」に関する非常に実践的なことでした。

そこから話が広がり、著作権の法的な話よりも「どんな風にAIツールを使っているか」「どう指示(プロンプト)を出せば思った通りの成果が出るか」といったAIの使い方そのもので大いに盛り上がってしまいました(笑)。

今の学生さんたちにとって、AIは「規制すべき対象」である以前に、すでに「使いこなすべき文房具」のような存在になりつつあるのかもしれません。 法律家としてリスクを伝えることも大切ですが、こうして新しい技術を当たり前に受け入れている若い世代の感覚に触れ、「ああ、時代だなあ」としみじみ感じた一日でした。

ご静聴いただいた静岡産業大学の学生の皆さん、ありがとうございました!

生年月日 1963年(昭和38年)4月8日 略歴 浜松市出身 静岡大学卒業 趣味・特技 パソコン・AI(人工知能):新しい技術への探究心が強く、いわゆるオタク気質な一面があります。 自動車の運転やオートバイでのツーリングが好きです。 愛車:バーグマン200、GSX250R テニス 旅行:特に京都への旅行が多く、歴史や文化に親しんでいます。

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